圭田武竜 様

圭田武竜

シャシャ

ロボットが社会に普及するにつれ、それを使ったコンビニ強盗などの事件が多発するようになり、人々の治安に対する不安感が高まりつつあった。
そんな世情の中、ロボットメーカー「マナス電子」は一般家庭向け防犯ロボットの販売に乗り出した。
その第一弾となったのがシャシャである。
ロボット購入をためらう最大の理由である「置き場がない」という声に応え、機体を従来の3分の2のサイズに折り畳めるようになっている。(動作が多少制限されるもののこの状態でも作業用ロボとして使用可能である)緊急時には一般的なサイズに伸展し、不審ロボットに対峙する。この変形は大腿部のリニアモーターシャフトにより瞬時に行われる。
変形をスムーズに行うためのリニアモーターシャフト導入だったが、その結果モーター関節では得られない高い瞬発力が備わり、従来の機種を大きく上回る跳躍・走行性能を持つことになった。
反面、外からの衝撃に対する安定性に難があり、格闘戦には向かないようである。操縦者の多くが初心者であることも考え合わせると、犯罪ロボットを撃退するというよりも威嚇・牽制を目的としたものといえそうである。(コクピットが一般より高い位置に置かれているのも相手に対する威圧効果を見込んだものであろう)それを裏付けるように、ロボットをホームセキュリティーシステムと連動させるオプションが購入者に対して盛んに推奨されている。
これは変形機構が働くと自動的に緊急コールが発信され、警備会社のロボットが駆け付けるというサービスである。
図の機体は市民有志により結成された自警団「スマイルガード」に宣伝を兼ねて寄贈された物で、同団のイメージカラーに塗られている。

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